古保利小学校いじめ防止基本方針

いじめは、理由の如何にかかわらず「人間として絶対に許されない行為」であり、全教職員が自らの課題として切実に受けとめ、徹底して取り組む重要課題である。しかしながら、その本質は表面化しにくく、根の部分に関わりにくいものである。

そのため、学校として未然防止と早期発見・早期対応にむけ組織的に取り組むことが大切である。

いじめをなくすため、まずは日頃から個に応じたわかりやすい授業を行うとともに、深い児童理解に立ち、生徒指導の充実を図り、児童が楽しく学びつつ、生き生きとした学校生活を送れるようにしていくことが重要と考える。

また、対応については早期発見早期対応を旨とした対応の充実を図る必要があり、関係機関と連携を図りつつ、問題を抱える児童一人ひとりに応じた指導・支援を積極的に進めていく必要がある。

以上を踏まえつつ、いじめ問題への対応については、次のような基本的認識に基づき、ポイントを押さえつつ、このことを推進していくものである。

「いじめ」は、どの子どもにも、どの学級にも起こり得る

「弱いものをいじめることは、人間として絶対に許されない」との強い認識を持つ

  • 「いじめは許されない」「いじめをはやしたてたり、傍観したりする行為もいじめ同様に許されない」ことを毅然として指導する
  • いじめを大人に伝えることは正しい行為であるとの認識を持たせる
  • いじめられている子どもの立場に立った親身な指導を行う

子どもの発する危険信号をあらゆる機会を捉えて鋭敏に感知するよう努める

  • いじめられている児童や、いじめを告げたりすることによっていじめられるおそれがあると考えている児童を徹底して守り通すという意志を言葉と態度で示す
  • いじめで悩んでいる際、必ず友人・教師・家族に相談するよう、また、まして自傷したり、命を粗末にする行為をとるなど絶対にあってはならないことをメッセージとして伝え続ける

いじめ問題は、教師の児童観や指導のあり方が問われる問題である

  • 個性や差異を尊重する態度や、その基礎となる価値観を育てる指導を推進する
  • 様々な教育の場面で、命の尊厳、生きることの素晴らしさ・喜びなどについて子どもたちが実感できるよう指導する

いじめは家庭教育のあり方に大きな関わりを有していること

  • 家庭の深い愛情や精神的な支え、信頼に基づく厳しさ、親子の会話やふれあいの確保の重要性を繰り返し訴える

家庭・学校・地域社会がそれぞれの役割を果たし、一体となって真剣に取り組むことが必要であること

  • いじめへの対処方針等、情報を日頃より積極的に公表し、保護者等の理解や協力を求める
  • いじめに関する学校に寄せられた情報に対し、誠意を持って対応する
  • いじめ問題に関し学校・保護者・地域代表との意見交換の機会を設ける
  • 家庭、地域に子どもたちのSOSをキャッチするべく協力依頼をする

未然に防止するための取り組み

問題行動を起こしやすい児童の傾向

  1. 基本的な生活習慣が身についていない子
  2. コミュニケーション能力が低い子
  3. 自尊感情の低い子
  4. 確かな学力(基礎基本の定着)が身についていない子

※家庭でしなければいけない内容で十分身についていないように思われるものについては、保護者に対してアドバイスをする等して、できるだけ子育て支援を行う。

対応の仕方

(1)基本的な生活習慣が身についていない子

※基本は、家庭で躾なければいけないものであるので、保護者の理解と支援が必要である。
※正しい躾を行わせるために、教師ができる親への対応

  • 学校での子どもたちのしつけられていない現状を知らせる。(面談)
  • 学級便り等で知らせる

※学校で必要な学習習慣・生活習慣については、徹底した指導を行う。

【主たる指導例】

  • 聞き方指導
  • あいさつ
  • 自分のことは自分で行う
  • 着替え
  • 配布物や提出物の管理
  • ノートの使い方
  • 時間割で動く
  • 時間を守る
  • グループでの話し合い
  • 学び合い
  • 等々

(2)コミュニケーション能力が低い子

※親と子のコミュニケーション
【親に提案する実践】

  1. 指示や命令でなく、提案する。
  2. 子どもの言い分を聞く。
  3. 決めつけないで議論したり、いいところを評価する。
  4. その上できちんと要求する。

※教師と子ども、子どもと子どものコミュニケーション

【主たる実践】

  • 基本は、「親と子のコミュニケーション」の考え方と共通する。
  • 学級経営が決めてとなる。集団つくり。
  • 自分の話したいことを話せる力を身につける。
  • 教育活動にロールプレイング・ディベート・アサーション・ソーシャルスキルトレーニングを取り入れる。
  • 対人関係ゲーム等のトレーニングをする。

(3)自尊感情の低い子

※自信をもてる子に育てる。

  • ほめられる
  • 認められる
  • 失敗を受け容れられる
  • 自分は必要とされていると感じられる
  • 自分を見守ってくれる人がいると感じられる
  • やり遂げられる
  • 充実感が持てる
  • 目標が持てる
  • 肯定的な人間関係

(4)確かな学力(基礎基本の定着)が身についていない子

※読み・書き・計算力等をつける 。
※話す力、聞く力を身につける 。
※学習習慣の定着を図る。

問題行動を起こしやすい学級の状態

(1)教室がストレスフルな状態になっている場合

  • 学級のルールが定着しておらず、子ども同士がぶつかりやすくなっている。
  • 具体的な予防策がとられておらず、問題が多発している。

(2)1つの問題への対処が長引いている場合

  • 教師が対処しているとき、他の子どもの活動内容が明示されていない。
  • 他の配慮を要する子どもに手が回らなくなって、彼らが新たな問題行動を起こしている。
  • (3)問題が沈静化した後、その問題がクラスにどういう意味があったのか、なぜ教師はその対応を優先するのかについて学級全体への説明がない場合

    早期発見のための取り組み

    1.きめ細かな児童観察

    • 授 業 時 間 の 見 守 り
    • 気がついたことは、「かくさず」「すぐに」学級担任・生徒指導主任・管理職に連絡する。

    • 休み時間の見守り
    • 従来通り、授業者は数分前に教室へ、授業が終わればすぐに職員室に戻らず廊下等で観察する。

    • 昼休みの見守り
    • 子どもたちのサインが一番でやすい時間帯。できるだけ子どもの近くに。 簡単な相談活動。

    • ふれあいタイム
    • 朝の時間、中休み時間、昼休み時間に「ふれあいタイム」として子どもたちとの関わりを深め、子どもたちがおかれている状況を把握する。

    2.連絡帳の有効活用

    児童連絡帳は、保護者と担任の「大切なこころのかけはし」になっている。担任は必ず目をとおし、保護者の思いを受け止めることが肝要である。気になることがあれば、すぐに生徒指導主任・管理職に報告・連絡する。

    3.教育相談の充実 ~アンケートの実施

    定期的な教育相談(原則として各学期1回)の充実をはかる。事前に生活実態調査や悩みアンケートを実施し、相談活動が有効に行われるよう配慮する。合わせていじめ調査も実施する。

    早期解決に向けた取り組み

    組織的な対応(取組)
    ※早期発見・早期対応の原則のもと、マニュアルに基づいて組織的な対応を進める

    • 生徒指導委員会が中核となり、基本方針・対応・指導方法等の検討をおこなう。
    • 方針に従い、学校としての毅然とした指導をおこなう。
    • 児童・保護者の思いを受容し、誠意を持って指導にあたる。
    • 事実確認をしっかりする。
    • やった行為については厳しく指導し、内省させる。
    • 加害側の保護者に連絡し、保護者への指導を入れる。
    • 被害側の保護者にも連絡し、今後の指導等について話し合う。
    • (場合によっては、加害者側・被害者側同席での指導も必要である。)

    • 被害児童の立場にたって寄り添い、被害児童のケアを慎重に行う。
    • 同じ学級であれば、学級の人間関係等、学級経営の立て直しを図る。
    • 「その後どうですか」という事後の保護者との連携を十分図る。

     

    具体的な対応

    被害児童生徒への援助と指導

    安心感を与える
    誠実な態度

    • 緊張感を解きほぐす
    • 語りかけて心を開かせる
    気持ちを受け入れる
    受容の姿勢

    • 相手の話した内容を相手の気持ちになりながら要約して
    • 「~という気持ちなんだね」と繰り返しながら会話する

    • 心の痛みを子どもの立場になって理解する
    悩みを十分聴く
    共感的理解

    • 非指示的対応
    • 欠点の指摘は避ける
    • 悩みの明確化
    気持ちを安定させる
    自立再生への動機づけ

    • いじめた側の反省の気持ちを伝え、いじめに対する毅然とした態度を示す
    • 自ら立ち直る動機づけを示唆する
    良さ(個性)・持ち味の引き出し
    自己長所の助長

    • 興味や趣味について自由に話させる
    • 自己を見つめるきっかけを作ってやる
    自信を持たせる
    自信の確立

    • 励ましにより自ら努力づけする
    • 多少の失敗を温かく見守る
    仲間づくりへの援助
    学級の雰囲気作り

    • 信頼できる友を見つけ、楽しい充実した生活を感じさせる
    • 自ら学級集団の中にとけ込む努力の援助に努める

     

    加害児童生徒への援助と指導

    正確な事実の確認
    共感的受容的対応

    • いつ、どこで、誰が、誰に、何を、なぜ、どうしたか など
    指導の雰囲気づくり
    共有的体験化対応

    • 緊張、警戒心をほぐす
    • 言葉に耳を傾ける姿勢
    反応に応じた指導
    積極的な反応

    • 行動の背景にある原因の把握
    • 不平、不満をじっくり聴く
    反省を促す指導
    毅然とした態度での対応

    • 人権の大切さに気づかせる指導
    • 子どもが自ら反省する方向に導く
    反省を深化させる指導
    作業を取り入れた指導

    • 共に作業し考えさせる
    • 自分自身を知り、相手の心の痛みをわからせる指導
    指導のまとめ
    仲間づくりの形成

    • 謝罪と和解の援助
    • 深い愛情を持った対応
    • 皆と共に考えさせる指導

     

    傍観者(扇動・容認)への援助と指導

    いじめの状況把握
    いじめを許さない真摯な態度

    • いじめの認識の有無
    • いじめを助長する雰囲気はないか
    全体指導の可否の判断
    いじめ再燃への可能性の判断

    • 被害者の孤立感の深まりがないか
    • 本人への排斥がひどくないか
    • 本人、保護者の学級担任への不信感が残っていないか
    被害者を最優先する指導
    いじめを解決する強い意志

    • 被害者の気持ちをくみ取る指導
    • 被害者、保護者に不安感を与えない指導
    • 全体指導への被害者、保護者の理解
    当事者としての意識化
    毅然とした態度での対応

    • いじめの構造や心理の指導
    • 傍観者の果たす役割
    • 被害者の心情理解
    • 許されないいじめへの怒り
    継続的指導のまとめ
    親和的集団の育成

    • 被害者、加害者を受け入れる雰囲気づくり
    • 正しいことが認められる雰囲気づくり
    • 悩みや困りごとが相互に出し合える学級、学年集団づく
    • 人の良さが認めあえる学校