各教室の授業を見て回っていると、今まさに行われている冬季オリンピックの話題についての道徳をしている学年がありました。それは6年で、「25人でつないだ金メダル」という資料を使って学習していました。
今から24年前の「長野オリンピック」のスキージャンプ団体競技の時のお話です。吹雪の中を跳んだ原田選手や金メダルを決めた最後の船木選手のジャンプなど感動のシーンがいくつもあり、今でもたびたびテレビの映像に流され、ご存じの方もたくさんおられるのではないかと思います。当時「奇跡の金メダル」とも言われていました。
この団体戦、1本目が終わった時に吹雪がいっそう激しくなり、競技は中断しました。再開するかどうかは実は「25人のテストジャンパー」のジャンプで決まるということになりました。競技の再開にはジャンプの失敗は許されず、極限の緊張した中で、25人のテストジャンパーたちは次々と見事に飛び着地を決めたのでした。この中には、前回のオリンピックで銀メダルに輝いた名選手もいました。本来は選手として出たかったであろう気持ちを抑え、テストジャンパーとして、役割を果たしたのでした。このようにして「25人」全員が自分の役割を果たしたことによって生まれた「金メダル」だったのです。
教科書には、こんな「ねらい」が書いてありました。「社会や集団には様々な役割があり、注目されるものもそうでないものもある。なかには、誰も知らないが大切な役割もある。そのことに気づき、自分の役割をしっかりと果たそうとする心情を育てる。」
オリンピックの期間であり、とてもタイムリーな話題(教材)ですが、ただそれだけではありません。卒業を1か月後に控えた子どもたちは、最後のラストスパートとして、学級の中で各自いろいろな役割を担って卒業に向かいます。また、卒業後も、集団で生活するうえで、なんらかの役割や分担の中で生きていくことになります。この時期に、この教材を通して学ぶことは、意義深く、また、子どもたちの印象に残るお話であると思います。
ちなみに、このお話は、映画になりました。「ヒノマルソウル」~舞台裏の英雄たち~