学校のパソコン室は、天井がドーム型になっています。これは、もともとこの教室は視聴覚室で、プラネタリウムが見られる構造になっていたようです。以前からこのドーム型の天井の形が気になっていた6年生は、担任からパソコン室ではプラネタリウムが見られるようになっていることを聞き、「いつか星が見たいな。」という願いをもったそうです。
長く在籍する校務員に聞くと、「そんなプラネタリウムを動かしているところを見たことがない。」とのこと。つまり今の職員で、だれも動かしたこともなく、プラネタリウムを動かす機械がどこにあるかもわからない状態でした。
「なんとか6年生の子が卒業するまでに、あのプラネタリウムを見せたい!」と思いながらも、卒業前のあわただしさに機械を探し、映す準備をする時間がありませんでした。とうとう卒業式の前日になってしまいました。このままでは、こちらも悔いが残ると思い、パソコン室を見てみると、隅のほうに大きな木の箱があり、その中にプラネタリウムの機械が入っていました。電源を入れてみると、光がつき、なんとか映るようです。しかし、ドーム型の釣り天井を下すレバーのねじ(ボルト)が見つかりません。6角レンチを代用して差し込んで回すと、少しずつ天井が下りてきました。一番下までドーム型の天井を下ろした後、プラネタリウムの機械を大きな箱の上に乗せ、電源を入れると、きれいに星が映り、別のスイッチを入れるとしっかりと回転しました。セッティングが完了したのは、給食前になってしまいました。
6年生は、午後の最後の授業「お別れの会」を和室で行い、担任や校長、養教から、お別れの言葉を聞きました。その後、6年生恒例のタイムカプセルを時計台に置きに行きました。6年生にとって、とても忙しい「最後の1日」となりました。でも、担任と相談し、最後の最後にサプライズでプラネタリウムを見せてあげることにしました。心置きなく卒業できるように・・・。
真っ暗なパソコン室に入ってきた卒業生。みんなドームの内側に入り、静かに天井を見上げました。
「映すよ!」・・・・「うわー、きれい!」「星が映っている。」「北斗七星や。」「あっ、星が動いた。」「すげー。」「あれが、オリオン座か。」・・・・
校長にとっても、6年生への最後の「授業」となりました。